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February 16, 2017

谷口ジローの死

 さびしい。この人の描くマンガを見られなくなるのが、やりきれなくさびしい。
 個人的に所有してる彼の作品は、最後に買ったのが『ヴェネツィア』。これはルイ・ヴィトンのために描き下ろした、「マンガ」ともつかない、むしろ画集である。美しいカラー、構図。そして『冬の動物園』がある。
 マンガ家の画は、永く描きつづけるほどに変化してゆく。なかには植田まさし先生のように、どんなに量を描いても絵が微動だにしないのもあるが。大島弓子氏は好例で、個人的に『グーグー』以降の「枯れた」画が大好物だ(最近彼女の画を目にする機会がすくないのがさびしい)。
 谷口ジローは上手い。上手いが、どこか粘着的な線だなぁと感じていた。関川夏央とのコンビ作品や、『犬を飼う』『遥かな町へ』そして『孤独のグルメ』など、愉しんでよんだけど、「線」への違和感はぬぐえなかった。
 そこへ『冬の動物園』だった。この自伝的要素を交えた物語は見事に「枯れた」線で描かれていた。短篇では、故郷に帰った主人公におさななじみの女の子(他へ嫁ぐことが決まってしまっている)が想いを告げる、『夏の空』が大好きだ。この作品でも2006年の発表。不勉強な私はその後の谷口ジローを熱心に追いかけることはなかった。
 まだ69歳だった。もっと心地よい画を見せてくれたはずだ。
 合掌。

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