発表! 2015年マンガベスト5 + 1
面白いマンガを探り当てるのがむつかしくなってきた。刊行点数が多いから本屋の平積みもどんどん入れ替わるでしょ。雑誌やネットを見てて、(あ、この作家、新刊出してたんだ!)なんてだいぶ後から気づいて、こそこそamazonに発注したりして。「紙派」としては急速に失われつつある本屋さんで買いたいんだけどね、きっと売り切れてる。
それにこっちの「感性」も加齢に伴って鈍ってるのかな。だいぶ評判をとった『岡崎に捧ぐ』なんて、さっぱり面白くなかった。きっと「アンテナの広さ・鋭さ」もおんなじ神経が作用してるだろうから、いいマンガを見つけられなくなってるんだな。
① 秋津(室井大資)
② アトム ザ・ビギニング(カサハラテツロー)
③ 今日を歩く(いがらしみきお)
④ なぎさにて(新井英樹)
⑤ あしたのジョーに憧れて(川三番地)
次 Sunny(松本大洋)
① 完全にノーチェックだった。連載始まったのはけっこう
前。一読夢中になり、もう何度読み返したかわかりま
せん。主人公(?)の漫画家・秋津薫の繰り出すゲス
な言動がクルんだが、キーは息子・いらかにあると思
う。いらかは小学生なのに、母親の出てしまったこの
家で料理などしてる。サツバツとして見える父との関
係性にあって、このいらかの爽やかなありかたが、
「逆・山葵」みたいに効いてる。「いらか」というのは
童謡『鯉のぼり』の「甍の波と雲の波・・」の「甍」で
しょ。5月の晴天の下どこまでもつづく瓦屋根がぱぁ
~っと浮かんでくるネーミングだ。その他、サブキャラ
達も誰もが一筋縄ではいかない連中で、この父子に
絡んでくる。
② 浦沢直樹『PLUTO』とは全くテイストが違う。
『PLUTO』は浦沢(と、ブレーン(?)長崎尚志)
が描いてきた世界にアトムを引きずりこんでるが、本
作は『鉄腕アトム』のリスペクト作品足らんとしてい
る。まだ2巻だから「予断は許されない」けど、楽しみ
な作品。
③ エッセイマンガなのに同じ作者の『Sink』を想起させ
る。日常に潜む不条理。それをノンフィクションでやら
れるんだからたまらない。
④ 新井英樹の次の挑戦は、ベタな古典SFのタイトルを
そのまま持ってきた終末モノ(おそらく)だった!
1巻ではのほほんとした雰囲気が占めているが、
『キーチ!』もそうだった。これから凄まじい描写がは
じまるだろう。
⑤ 正直マンガ作品としてはいま一歩の感。でも、他なら
ぬちばてつやの現場を報告してくれる「ノンフクショ
ン」として本作をとらえれば、俄然興味深く読める
のだ。
次 連載終了。新しさはなかったが、作者がこれまで描くこと
で得たものを存分に発揮した作品だと思う。おつかれさ
までした。