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November 17, 2004

痛風物語_4

◆ とても食べられた代物ではないカップ麺を、娘は食べるという。ワタシの、(常識的には)奇妙極まりない依頼に何ンらいぶかる素振もみせず、そのうえ、この見るからに不味そうなどん兵衛を食べてみせるというのだ。こんな風俗嬢がいるだろうか? ワタシは、この名古屋は栄で、写真の神にいま祝福されているのではないか。
◆ 再びの自失からよみがえったワタシは、いった。
「あ、ウン、ホントに食べることないから。食べるフリしてくれればいいから」
「ハイ」
そうだ、コレは写真なのだ。動画を撮るのではないのだから、実際に食べている動作が必要なわけではない。
「じゃ、そこに座ってくれる?」
このヘルスには、ソープランドにあるような金色の、いわゆる「スケベ椅子」が用意されていた。なまぬるいどん兵衛を持った彼女がそこにこしかけると、なんともフォトジェニックな空間が現出した。どん兵衛のふたのみどり、娘の白い肌、頭髪と陰毛の黒、スケベ椅子の金。そこへワタシはドアの取っ手に緑色のタオルを配した。これによってどん兵衛とタオルがひとつの円環をなし、完璧な写真空間を形成するにいたった。
◆ いよいよ撮影の開始である。
「じゃ、撮るから。うどん食べるフリして」
ワタシは夢中で撮影した。掛け値なしに最高の写真が、いま撮れているという実感があった。何度も何度もシャッターを切る。そのとき、無我の境地にあったワタシの耳に音が響いた。娘が麺をすする音であった。
「ちょっと! 食べなくていいんだって!! まずいでしょう?」
「おいしいですよ」
娘はなおも麺を口に運んでいる。ワタシの写真への情熱にたいし、迫真の演技で以ってそれに応えようという彼女の、それは真に純(ピュア)な想いからの行動であった。
◆ すべてが終わったあと、ワタシは娘にいった。
「かならずまたここにもどってくる。そのときはキミを抱こう」
◆ つづく(hedge) 

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