« 私の履歴書 | Main | 痛風物語_4 »

November 13, 2004

痛風物語_3

◆ 「ねぇ、ヘンな奴だと思われるとこまるんだけどー・・」
「うん?」
「今日はサービスをしてくれなくてもいいんだ」
娘はその幼げともいえる顔を心持ちかたむけ、笑みを残したままこちらをじっと見る。ワタシはいささかあわてたような気持になった。
「いや、芸術なんだ。ってかオレ写真撮っててね。で、うどんの写真撮んなきゃいけなくて。なんでうどんなんだろーねー? ホントこまるよ。その写真のっける雑誌を企画したヤツがさー、うどん撮れって。なに考えてんだかワケ判んねぇよ」
娘はその可愛い笑顔でなおワタシを凝視している。
「で、キミにどん兵衛食べてほしいんだけど。ここで」
「いいですよ」
娘はこともなげにそういった。
「ほんとに? 顔はぜったい写らないようにするから」
「ハイ」
なんらの疑問をはさむそぶりもない。困惑や怯えをみせることもなく、その顔はまったく涼しげだ。ワタシはあっけなさとともに感動をおぼえていた。
◆ さっそくうどんをつくる作業に入った。浴室のシャワーの湯を、最も高温にして出してみる。が、沸騰した温度には程遠い。娘は店のフロントから湯をもらってこようかといってくれた。しかし彼女に妙なサービスを強要しているかのように、店から怪しまれたらたまらない。娘の提案は丁重にことわり、やむなくシャワーの湯をどん兵衛に注ぐ。けれどできあがったうどんは、とても食べられた代物ではなかった。やはり温度が足りず、ところどころがカタマリになってしまっていて、粉末スープもうまく溶けこんでゆかないようだ。ううむこまった。
「大丈夫ですよ。あたし、食べます」
娘がいった。
◆ つづく(hegde)

|

« 私の履歴書 | Main | 痛風物語_4 »

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/37126/1947417

Listed below are links to weblogs that reference 痛風物語_3:

« 私の履歴書 | Main | 痛風物語_4 »