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安倍晋三の空虚な4日間

 ロバート・シェイとロバート・A・ウィルスンによる『イルミナティ』は英語圏でものすごく売れた。この度の日本語訳「訳者あとがき」によると(3部作としてだが)その数100万部。売れただけではなくその後のカルチャーにさまざまの影響を与えたともある。1985年には再販され、30刷を重ねた。
 これだけ売れたというのに我が国での翻訳・出版はこの文庫が初めてなのである。2007年5月25日と奥付にある。やはりイルミナティ的「カルチャー」の土台なくしては売れないと考えられていたのだろうか。と、なると、なぜいまになって販売の決断が下されたのか。『ダ・ヴィンチ・コード』のヒットがやはり起因だろうか。しかし両者は似て非なるものだと(『ダ・ヴィンチ・コード』を読んでないにもかかわらず)断言できる。おそらくあちらは『イルミナティ』のごときデタラメはやってない。もちろんその「秘密結社」的エピソードの数々はデタラメだろうが、物語としては「夢中になって読める」ようちゃんとした構成を用いているだろう。『イルミナティ』のデタラメは方法におけるものであり、「ちゃんと読めない」のだ(すくなくとも日本においては)。編集者たるものこのちがいに気づかないはずはない。
 しかるに、出版にふみ切った。その理由がどこかに存在するはずだ。
 2007年9月26日、時の内閣総理大臣安倍晋三はその任を退き、福田康夫に後身をゆずることとなった。安部の在任期間は365日である。

 下巻、232頁。

  ピラミッドには七十三の部分がある。七十二ではないんだ。七
  十三にどのような意味があるだろう? かんたんだ。ヴァイス
  ハウプトの五の科学を用いて、五倍すれば三百六十五、一年の
  日数になる。あのいまいましい代物はストーンヘンジのような、
  何らかの天文学的コンピュータなんだ。エジプトのピラミッド
  は東を、日の昇る方角に向いている。マヤの大ピラミッドもき
  っかり三百六十五の部分に分かれ、やはり東を向いている。彼
  らがしていたのは、彼らが自然のなかに見出した“秩序”の崇
  拝であり、自分たちの道具でそこに秩序を投影していたことに
  気づいていなかった。

 この度の安倍(前)首相の辞任表明に伴い、次期総理として福田康夫、麻生太郎の両名が立候補する運びとなった。日程として当初「9月14日告示・19日投票」で調整が進められていたが、「論議を尽くすには期間が短すぎるのではないか」等の声があがり、「14日告示・23日投票」でおちついた。ところがフタをあけてみれば即座に福田有利に情勢は傾き、その後どんなに「論議を尽く」しても流れが変化することはなかったのである。けっきょく延ばされた4日間は空しく消費されるだけだった。安倍の在任期間が365日という「1年間きっかり」になったことは、報道でも「ちょっと可笑しな偶然」として言及されたが、総裁選の4日間延期がなければその「偶然」もなかったわけである。
 さて、この一連の騒動、はたして偶然の所産だろうか? 短期決戦に持ち込もうとしたのは麻生及びその側近だとされており、本人もそれが己に有利にはたらくという腹積りのようだったが、水面下では中川秀直や武部勤、さらには小泉純一郎が動いており、告示後、時を待たずして大多数の派閥が福田支持へと動いたのは、すでに決定済みの事案に従ったまでのことであった。で、あれば、何も麻生周辺の主張する19日投票に対してああまで強硬に反対する理由もなかったはずなのである。
 365日。この数字がどうしても気がかりである。安倍晋三を何ンとしても365日間、首相の任に着いておかさなければならない。そのような意思が、この国のヘゲモニーにあったとしたら。「日出ずる国」日本においては、その「秩序」の維持のために、「日の昇る方角に向いている」ピラミッドが365の部品から成ることを参照し、その手法を国の領袖の在任期間に応用した。そう考えることに不自然さは微塵も見受けられない。
 イルミナティの勢力が、ついに我が国の覇権をも掌握しようとしている。本書の日本語訳の、アメリカに遅れること30数年後の出版は、この現象をとらまえていれば当然のことと納得し得る。
 それにしても怖いのは、我が国のトップがこうした動きを無意識に実践しているのではないかと推測されることだ。イルミナティの洗脳により、あたかも自発的な階級闘争の方法としてこの「ピラミッド方式」を採択(もちろんイルミナティによる「方法」は無数にあるのだろうが)していると思い込んでいるのではないか。

  自分たちの道具でそこに秩序を投影していたことに気づいてい
  なかった。

 気づいたときにはもう遅いのである。[2007/09]

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