『フラニーとゾーイー』

★★★★
J・D・サリンジャー 野崎孝訳
<10/10/05> 特に『フラニー』がすばらしい。

『賜物』

★★★
ウラジーミル・ナボコフ 沼野充義訳
<10/09/24> 読むのに1ヶ月半もかかってしまった。でも不思議と途中で投げ出さずに読了した。確かに小説技巧の凝りに凝った駆使と、ロシア詩の難解さに読むのが苦痛になることもあるが、説話的な箇所など(もちろん)等閑にしない文体と、時に散文詩のごとき一連が直に快感へと繋がってゆき、少しづつでも読むのをやめられないのが本書だ。

『ベイツ教授の受難』

★★★★
デイヴィッド・ロッジ 高儀進訳
<10/07/11> 適度に知的な語りが読むに心地よい。ベイツ教授はひどく生真面目だ。妻に対して嘘を吐くことはもちろん黙っているのも裏切りだと思っている風だ。それが過去に犯した「罪」に拠るものだと後半判る。アウシュヴィッツを訪れた際も、謎の女学生を前にしたときも彼の胸に去来するのは「罪」のことなのだ。父の死をむかえて、ベイツの「罪」への思いはひとつの壁を越えた。同時に難聴も迎えいれる。

『ブラッド・メリディアン』

★★
コーマック・マッカーシー 黒原敏行訳
<10/04/12> 平行してマキューアンを読んでいたせいか、そのスクエアな文体にたいし、こっちはあまりに「詩的」でそれが鼻につく。お話も延々と同じような展開が繰り返され、まあそれが19世紀なかばのアメリカの広漠たる砂漠をさまようということを体感せしめているのかもしれないが。

『愛の続き』

★★★
イアン・マキューアン 小山太一訳
<10/04/08> 「本格」のほうのマキューアン。また印象的な滑り出しのエピソードだ。よくこういうことを思いつけると思う。もちろん面白かったけど、いささかミステリ風の筋立てはいかがなものか。「筆跡」に関するひっかけなどは空振りしてるし。あとこの訳題もどうなんだろう? 「継続する愛」みたいのが原題の直訳だよね。ちょっと意味付けがちがってくる。

『初夜』

★★★
イアン・マキューアン 村松潔訳
<10/03/13> 『アムステルダム』系の軽い(マキューアンの中では)作風に仕上がっている。新婚男女ふたりのエピソードがほぼ同量の文章で以って描かれてるが、実は新婦(フローレンス)に関しては謎が多い。「その後」のこともわずかにしか触れられないし彼女がなぜ「そう」なってしまったのか、ほのめかせる部分はあるがハッキリとした言及ではない。このふたりをめぐるアンバランスな扱いが本作のキモであろう。

『贖罪』

★★★★
イアン・マキューアン 小山太一訳
<10/03/06> 面白かった! 続きを読みたいがために呑みの誘いを断ったほど!! ワタシもブッカー賞受賞作『アムステルダム』からマキューアンに入ったクチなので、あの「ワン・アイディア物語」に、もう読むことはないと思ってたから危なかった。『土曜日』のあらすじ紹介に何か感じるものがあって読んでみてよかった。『贖罪』はひとつ前の作だがデキはさらに上。冷徹とユーモアの混じり具合にぞくぞくし、そこに為ではない「実験」が施されていて言うことなし。久々に再読の誘惑に駆られる小説だ。

『マイ・ムービー・ビジネス』

★★★
ジョン・アーヴィング  村井智之訳
<10/02/24> 軽く読めて面白かったけどもっと「ビジネス」面のどろどろしたトコを識りたかったな。映画は儲からない、とかね。

『悪霊』

★★★★
フョードル・ドストエフスキー 江川卓訳
<10/02/19> あいかわらずヤルねぇ、ドストちゃん! 面白いじゃん。エピグラフに引かれている、悪霊が豚にとりついてみずから湖に入り溺れる、ってイメージもクるし、三人称多元描写と「私」が混在するのも愉快だ。彼の「新しさ」にいまだ誰も追いついてないんじゃないか!?

『素数たちの孤独』

★★★
パオロ・ジョルダーノ 飯田亮介訳
<09/10/14> 痛々しい、やきもきする話。そんな負と思える感情が読み進める動機になる不思議。

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